失恋歌

振られた夜に……

　彼女の家の前に到着してから1時間ほどが過ぎていた。
　エンジンを停めていたので、車内は冷え切っていた。

　携帯で時間を確認する。時刻は22時前。
　彼女との最初の約束は21時。それから21時半になると言っていたが、それにも間に合わなかったようだ。

　待ち合わせの時間に遅れることすら思い出だ。
　よく彼女は時間に遅れてきた。もともと忙しい仕事だから仕方がない。
　俺は待っている間に駅の近くの喫茶店で本を読み時間をつぶす。もう家を出た？1時間遅れると、彼女のメール。いつものこと。
　俺はいつものように、そのメールを眺め、気をつけておいでと返事を返し、再び本を開く。
　遅れて待ち合わせ場所に来る、申し訳なさげな顔で来る彼女が愛しかった。

　駅につきました。走っていくね。と彼女からのメール。

　いよいよ彼女との対面。