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ほどなくして、彼女が現れた。
俺は助手席に座るよう促した。
一所懸命に走ってきてくれたみたいだ。とても息を切らしている。
遅れる時間の連絡はくれないけれど、そんな風に現れる彼女がやっぱり好きだと痛感する。
俺はエンジンをかけ、彼女の家の近くのファミレスに移動した。
ファミレスの駐車場に車を停める。三ヶ月前のことを思い出す。
三ヶ月前は、ここでもう一度二人で再スタートを切った。
その時に二つ約束をした。お互いにどんなに忙しくても週に一回は逢うこと。そして、お互いの気持ちがわからなくなっても、必ず逢ってから決めること。それがその時に約束したことだ。
彼女は約束通りに週に一回は時間を作った。俺もそれにあわせるように時間を調整した。
そして、今回、別れを言うときも逢いに来た。気持ちが揺れてると。ただ、少し違うのは、俺の家に来たときには彼女の答えは決まっていた。
何故、不器用なのだろう。揺れているなら、そのまま付き合っていればいいのに、キープだっていい。
彼女は玄関からの去り際にどっちとも付き合わないと静かにつぶやいて帰ったのだった。
実はそれも俺がもう一度逢いたいと思った理由。 どんなにかっこ悪くすがっても、彼女と付き合っていたいと思っていたのは本当の気持ち。でも、彼女が望む彼女の幸せの足かせになりたくないというのも本当の気持ち。
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