研修生(メイド)は突然に

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そうそう、やっぱり説明しなきゃいけないだろう。 県立八十神(やとのかみ)大学附属高等学校。名前のインパクトが正直言って強い。八十神は勉強の方に結構力を入れてる県内有数の進学校である。 で、俺はその入学式の帰りだ。 適当に話をしながら町のアーケード街に入った辺りの事だった。 「――って感じなんだけど……ってあれ?」 『? どうしたの和也?』 う~ん、今日の天気予報は見事に外れたのだろう。 首筋に当たった冷たい何かは、烏の糞でもなければ何でもない。完全な水滴だった。 そして、みるみる内にコンクリートの地面は乾いた明るい色から湿った暗い色へ変色していき、茜色の太陽はあっという間に雨雲に隠れていった。 「ちょ……母さん、ゴメン。雨降ってきたから一旦切るね!」 『え? ちょっと和也!? まだ伝えて……』 ……許せ、母さん。また後でゆっくり話そう。 「って言ってる場合じゃないしっ!」 どんどんと強くなっていく雨は多分、最近話題のゲリラ豪雨なのだろうか? と勝手に想像しながら俺は必死になって帰路を駆け抜けていった。 「ハァ……ハァ……う~寒っ」 僅か三分の道で深い藍色の制服がぐちょぐちょになってしまった。それはそれだけ強い雨が降っていたという証明にもなるのだが、だとしたらこれを誰に誇示すればいいのだろうか? とりあえず、俺はため息混じりに玄関の戸を開けた。
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