1117人が本棚に入れています
本棚に追加
/224ページ
と、そこである異変に気づいた。
まず、俺は一人暮らしだ。だから俺以外の靴が玄関に並ぶ事は絶対にない。
なのに何故か、そこには明らかに俺が履かなそうな靴が二足、威風堂々と、さも当たり前のように置かれている。そのサイズから…というよりも、その色ってかその靴の感じからおそらく女の子のものと推測しよう。
てか、鍵開ける動作しなかったな俺。今日の朝もしっかりと戸締まり確認したのに開いてるって……
………………
ドクン、ドクンと妙に胸の鼓動が大きくなっていく。
そして、知らない内に俺はまとわり付くような身体の寒さを忘れていた。
いや待てよ俺。相手は女の子ぞ? しかもこの靴の大きさからして俺よかも背ちっこいだろ、多分。って問題じゃなくて……
とりあえず、相手の性別はどうであれ不審者は不審者だ。住居不法侵入だ。罪には罰だ。捕まえたら速攻警察だ。
…そういう事で俺は音を立てないようにゆっくりと階段を登り、まず自分の部屋の前に立つ。
軽く深呼吸をしてからドアノブに手を伸ばし、生唾をゴクリと飲み込んでから、意を決して自分の部屋の戸を思いきり開けた。
普段よりも重く感じた戸を開け、その先にあったのは……
「あ、お帰りなさいませ、ご主人様っ!」
………………
え~っと……
うん、非常に困る。
そんなお決まりなフレーズを元気いっぱいに、しかもまだ若干の幼さが残った声で言われても、ぶっちゃけリアクションに困るだけだから。
違う意味で、嫌な汗が流れた。
しかし、見事に出鼻を挫かれた。最近の不審者ってメイド服を着るんだな。
…そういえばどうやって侵入したんだ?
最初のコメントを投稿しよう!