遭遇

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「どけ!!」 「邪魔だオラガキ!」 「おいそこの車!頼む!俺も乗せてくれ!おい待てよ!!」  三重県津市内、その街の人間は、突如現れたモノの前に混乱し、ある者は闇雲に走り、ある者は保身のために他人を傷つけ物を奪い、ある者は他人を助けていた。  その中、二人の男が正面から来る人込みを掻い潜り全力で走っていた。 「どけどけどけ!そこどけ!!」 「智也!やっぱ駐屯地とは連絡つかんで!」 「だぁあも~!マジかよ!」 「普段無駄に非常呼集訓練とかやるくせに土壇場でこれか!なにやっとんや一課は!!」 「有山ぁ!四の五の抜かしとる暇有ったらとにかく走れボケ!」 「はいよ!てか邪魔!道開けろ!!」  そう言った瞬間、車の甲高い警笛が鳴り、ふたりに向かって車が突込んで来た。 「うおぉお?!」 「アブねえ!!」  突然だったが、瞬時に二人は別々に飛び退き。危機を脱した。 「いててて・・・ボケェ何しとんじゃ!!」  起きたと同時に振り向き、ドライバーに叫んだが、既に降りて逃げたらしく車内はもぬけの殻だった。 「・・・・あら既にドロン?」 「有山、ラッキーやこの車使うてぇ!」 「あ?・・・何ぃ?!」 「えぇから乗れてぇ!」  有山の問答も聞かず、智也はボンネットを開け、エンジン等をチェックする。 「おいおい、こいつはお前のシーマと違ってミッション車やぞ?」 「アホ!それがなんやねん!とりま有山は誰かに車盗られん様見張ってくれ!」 「はい了解・・・・っておわ!」  仕方無しに運転席側に立った瞬間、鉄パイプを持った男が有山に殴り掛かって来た。 「なんやおっさん!?」 「うるせぇガキが!その車寄越せ!!」  男は怒鳴りながら鉄パイプを振り回す。 「のぉ・・・と。うわ!アブねぇ!・・・にゃろ」  ブンブン振り回す男が一瞬パイプを振り上げる。その瞬間、有山は一気に懐に入り込み、ジャブを放った。 バシッ! 「ぐ!」  見事鼻先に当てられた男は軽くのけ反り、その隙を狙って右ストレート、トドメに、思いっ切り体をねじって、強力なハイキック! 「シャオラぁ!」  見事キメられた男はたまらずパイプを放し、無様に路上に仰向けになった。 「ったく!陸自の格闘練成隊舐めんなよ!」
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