4人が本棚に入れています
本棚に追加
「どけ!!」
「邪魔だオラガキ!」
「おいそこの車!頼む!俺も乗せてくれ!おい待てよ!!」
三重県津市内、その街の人間は、突如現れたモノの前に混乱し、ある者は闇雲に走り、ある者は保身のために他人を傷つけ物を奪い、ある者は他人を助けていた。
その中、二人の男が正面から来る人込みを掻い潜り全力で走っていた。
「どけどけどけ!そこどけ!!」
「智也!やっぱ駐屯地とは連絡つかんで!」
「だぁあも~!マジかよ!」
「普段無駄に非常呼集訓練とかやるくせに土壇場でこれか!なにやっとんや一課は!!」
「有山ぁ!四の五の抜かしとる暇有ったらとにかく走れボケ!」
「はいよ!てか邪魔!道開けろ!!」
そう言った瞬間、車の甲高い警笛が鳴り、ふたりに向かって車が突込んで来た。
「うおぉお?!」
「アブねえ!!」
突然だったが、瞬時に二人は別々に飛び退き。危機を脱した。
「いててて・・・ボケェ何しとんじゃ!!」
起きたと同時に振り向き、ドライバーに叫んだが、既に降りて逃げたらしく車内はもぬけの殻だった。
「・・・・あら既にドロン?」
「有山、ラッキーやこの車使うてぇ!」
「あ?・・・何ぃ?!」
「えぇから乗れてぇ!」
有山の問答も聞かず、智也はボンネットを開け、エンジン等をチェックする。
「おいおい、こいつはお前のシーマと違ってミッション車やぞ?」
「アホ!それがなんやねん!とりま有山は誰かに車盗られん様見張ってくれ!」
「はい了解・・・・っておわ!」
仕方無しに運転席側に立った瞬間、鉄パイプを持った男が有山に殴り掛かって来た。
「なんやおっさん!?」
「うるせぇガキが!その車寄越せ!!」
男は怒鳴りながら鉄パイプを振り回す。
「のぉ・・・と。うわ!アブねぇ!・・・にゃろ」
ブンブン振り回す男が一瞬パイプを振り上げる。その瞬間、有山は一気に懐に入り込み、ジャブを放った。
バシッ!
「ぐ!」
見事鼻先に当てられた男は軽くのけ反り、その隙を狙って右ストレート、トドメに、思いっ切り体をねじって、強力なハイキック!
「シャオラぁ!」
見事キメられた男はたまらずパイプを放し、無様に路上に仰向けになった。
「ったく!陸自の格闘練成隊舐めんなよ!」
最初のコメントを投稿しよう!