正しさは揺らぐ

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きまりというものがある。  人が正しくいられるための、いわばリードである。  しかしこれがどのような状況下においても正しいわけではない。  だから法律に縛られる警察は時に嫌われる。        正しさは、揺らぐ。  世の中はすべて多数決である。  多くの人が「正しい」と言えば、それは正しいのだ。    これが、場所によって異なる場合がある。    これが文化。    文化はそれぞれの国、それぞれの県、それぞれの市、それぞれの町、それぞれの学校、それぞれのクラス、それぞれの集団で異なる。    この小空間の中ですら、多数決の法則はついてまわる。    多くの人間が「正しい」と言えば、それより悪いものも、いくらそれ以上に正しいことであってもそれは「間違い」と判断される。    その小空間の中で「正しい」とされたことを守ろうとする姿勢を、人は、最も疑わしい三文字「協調性」という言葉で表す。    「協調性」のない者は小空間より弾き出され、心を病み、この瞬間、世の中に「負ける」のだ。    そして小空間に残った者たちは、別の小空間(異文化)と火花を散らせる。    それが戦争であろうと、いじめであろうと、居場所を与えてくれる小空間は、それだけで心地が良い。          他人を、自分の小空間から弾き出してでも、幸せになることを勧める。    正しさとは帝国主義のもとに、幸せとは資本主義のもとに成り立つ。    そしてついに、人々は、わかりあえない。
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