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恐る恐る左側に視線を向ける。 そこには矢織の死体らしきものは無く血のあとすら見当たらない。 「どうなってるんだ。おっさんはどこに」 呆然とする憲一は左肩を誰かにつつかれた。 「さわんじゃねーよ。今それどころじゃ」 手で掃う。また繰り返しつつかれた。 「だから触るんじゃね。今、人が車にひかれ…」 「よう」 振り返ると目の前には笑顔で右手を挙げている矢織がいた。そして憲一の心臓は再び停止した。
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