22人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
矢織と出会って昨日起こった事を考えながら憲一は駅へと急いで向かっていた。
誕生日に父からもらった古い腕時計の針は8時10分をさしている。遅刻ぎりぎり、いや、奇跡でも起きない限り間に合わない時間。
そんな事態にも関わらず昨日の事を考えているのは、遅刻しそうな理由がそれだからだ。
自分の体に戻って目を覚ますと前には、ぼやけていたが白く小さいものがあった。右に視線を向けるとピンクのジャージ姿の若い女性が憲一を見下ろしている。
少し間をおいて気づいた、犬のお尻だ。
慌てて立ち上がる。なんとか誤解をとこうとする憲一に女性はひきつった笑顔を見せ足早に去った。
最初のコメントを投稿しよう!