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最初の異変に気付いたのは、僕が幼稚園の頃だった。保母さんが感性を豊かにする為と言って、塗り絵をさせる。
その時だった。
クレヨンの中で、僕は血の色に一番近いであろうと思われる赤色しか使わなかったのだ。別にチューリップが描きたかったわけではない。人物画も赤一色。風景画も赤一色。赤だけをこよなく愛したのだ。
その一途で無垢な想いが、そもそもの失敗だった。
この頃から、そういった捻くれた思考回路が出来上がっていた僕は、両親を始めとして大人達に好奇の目に晒されていると気付くまでに時間は掛からなかった。
そしてある日、僕は幼いながらにして考えた。そういえば、僕には友達が居ないなと。
理由は簡単だった。ただ単純に恐いからだ。休み時間に楽しそうに蟻を潰して遊んでいる奴には、もちろん誰も近付かない。自分とは違う者や変わった者に対して、子供は残酷だ。
更に困ったことがあった。お遊戯会か何かで友達と組まなければならなかったのだが、生憎友達の居ない僕は孤立し、先生を困らせたことがあったのだ。
友達が居ないと、ある意味では自由で、別の意味では不自由または不便だった。
仕方の無しに僕は、“人に合わせる”という吐き気の催す行為を知ることになったのだった。
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