741人が本棚に入れています
本棚に追加
/406ページ
雪はきっと、天然と呼ばれる部類に属しているだろうと、僕は思っている。冗談を冗談と思えない彼女の特性は、純粋とも呼べるかもしれない。
それは桜にも言えることだが、僕はそこで一案を考えついた。
どの角度から見ても寸分の狂いも無い双子の彼女達だが、性格は環境や考え方によって変わるのかという疑念の元に考えついた実験がある。
どちらか一方にだけ、ある思考を植え付けるという実験だ。その結果次第では、今後の彼女の人生にも大きく関わる実験だった。
実験対象は雪だった。雪は母や桜よりも、何故か僕に忠実だったから、僕の言うことを守った。だから選んだのだ。
ちなみに実験の内容は、雪に桜と逆の思考を植え付けるという、洗脳にも似たものだ。
結果としては、大惨事だ。
桜は優しかった。雪はまず、その対極の事を始めたのだ。
桜も雪も、母に頼み事をされれば快諾していたのだが、雪は何もしなくなった。それどころか、桜の邪魔さえし始めたのだ。
更に、桜が怪我をした鳥を家に運び手当をしようものならば、雪はその鳥をオーブントースターに入れて丸焼きにした。
桜は鶏肉が嫌いになった。
最初のコメントを投稿しよう!