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「あ、あの……?」
前方にいる少女が、M字開脚をしながら不安げな声を漏らす。
活発そうな少女だ。
艶が輝く黒のおかっぱ頭。勝ち気そうな瞳。深緑色をしたチェック柄のスカートは、祐樹と同じ高校の制服だと識別できる。
普通ならここで、「あんた! あたしのパンツ見たでしょー!」とか叫んで去っていきそうな場面だが、祐樹の半壊した顔面を見て、ただ事ではないと思ったのかもしれない。
何せ本当に酷い。耳から煙でも出そうなくらい、顔面がパニックで染まっている。
しかし彼、津島祐樹も人間だ。時間が冷静さを取り戻してくれる。
熱くなる下腹部を力技で制止し、この危機的状況を打破するべく、頭を働かせた。
(くそっ! 落ち着け! クールになれ津島祐樹!!)
だが、前方の少女が依然としてM字開脚の状態なので、自然と目がそちらに泳ぐ。
チラッ!
チラチラッ!
チチチチチラッ!
これは、なんという僥倖なのだろうか。
ベタな展開に感謝。これが夢オチとかなら神を絞殺してやろう。本気でそう思った。
だって、縞模様のパンツ。シマシマパンツ。略してしまぱん。
何故、平仮名に変換されるかは置いといて。
思春期真っ盛りの男子にとって素晴らしい品物なのである! 悲しきかな、女性に免疫がないから尚更!
ああ、股関のファイアが全身にサンダーを――
「ちょっと」
透き通ったソプラノ。
気が付けば、前方の少女がM字開脚ではなく、女の子座りになっている。
そして、触れれば切れそうな殺人的に鋭利な瞳を作り、こちらを睨んでいた。
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