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矢吹丈の力石徹に対する友情は、決して仲良し同士のもたれ合いから生まれた、甘えられる対象に向けられたものではありません。
矢吹は力石をぶちのめすためにボクシングを覚えます。
それまでケンカ自慢で負け知らずだった矢吹を華麗なボクシングのテクニックで地べたにはいつくばらせた男。やられっぱなしで黙って引き下がれない矢吹は、力石に勝つために、丹下段平が差し入れしていた、
――あしたのために。
という、ボクシングの技術を書いた手紙をまじめに読み、少年院の中で、ひとりで練習します。
矢吹丈には、普通の意味での友達はいないのです。
ストーリーを追うのは、ながくなるので、これくらいにします。
ともかく、ろくに友達もいない男、殴り合いに勝つことだけを目的にボクシングに打ち込む、それが矢吹丈の青春です。
そして、友情もまた、殴り合いを正々堂々とやろうとする相手に対してのみ、生まれます。
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