第4章

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その晩は彼の腕に包まれ、本当に久しぶりにぐっすりと眠った。 目覚めた時まだ体は痛んでいたけれど、すっきりとしていた。 コーヒーをいれていると、彼も起き出し背中から抱き締め「おはよう」とキスをした。 ずっと前…結婚に夢を持っていた、若い頃に思い描いたそんなシーンだった。 出がけに彼は、携帯と財布を私に渡した。 「悪かったね。隠すような真似して。今夜は君の手料理が食べたいよ。」 照れたように微笑み、頬にキスをして出掛けて行った。 私は携帯を充電し、洗濯し、掃除をした。 手足の傷を消毒し、コーヒーを飲み一息いれる。 「何食べたいんだろ?聞けばよかった…」 そんなさもない悩みすら、幸せを感じる。 そんな時メールの着信… [弁当続きだったから今夜はあっさりした、和風の料理が良いな。 その後は…じっくりと君を頂く… 愛してるよ] 私は一人顔を赤らめ [了解 お手柔らかに 愛してるわ] と送信した。 [完]
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