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その晩は彼の腕に包まれ、本当に久しぶりにぐっすりと眠った。
目覚めた時まだ体は痛んでいたけれど、すっきりとしていた。
コーヒーをいれていると、彼も起き出し背中から抱き締め「おはよう」とキスをした。
ずっと前…結婚に夢を持っていた、若い頃に思い描いたそんなシーンだった。
出がけに彼は、携帯と財布を私に渡した。
「悪かったね。隠すような真似して。今夜は君の手料理が食べたいよ。」
照れたように微笑み、頬にキスをして出掛けて行った。
私は携帯を充電し、洗濯し、掃除をした。
手足の傷を消毒し、コーヒーを飲み一息いれる。
「何食べたいんだろ?聞けばよかった…」
そんなさもない悩みすら、幸せを感じる。
そんな時メールの着信…
[弁当続きだったから今夜はあっさりした、和風の料理が良いな。
その後は…じっくりと君を頂く…
愛してるよ]
私は一人顔を赤らめ
[了解
お手柔らかに
愛してるわ]
と送信した。
[完]
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