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流石に、掃除機をかける体力…いや…気力はなかった。ゴミをまとめ、テーブルを拭くと力つきてしまった。
「こんなに筋肉痛になったの何年振りだろ…まだ体が軋んでる。」
コーヒーを飲みながら彼が手当てした傷を見るため包帯を外した。痛々しく擦りきれた手首は、今少し動かしたせいでまた少し血を滲ませていた。少し風を当て、消毒し傷薬を塗りまた包帯を巻いた。
そしてゆっくり立ち上がり、ベランダに立った。風が気持ち良く肌に当たり、夕闇に包まれつつある街並みが、徐々に灯りをともし始める。
「やっぱりまだ肌寒いな…」
室内に戻ろうと思った時、少しうつ向きながらこちらに向かう彼の姿を見つけた。
私は室内に戻り窓とカーテンを閉め、まだヨロヨロする体を動かし、玄関に向かった。
徐々に近付く彼の足音…
鍵が回り、思ったより長い時間がながれた後ドアが開いた。
「おかえりなさい」
私は笑顔で出迎えた。彼は驚き一瞬動きを止めた後
「ただいま…良かった…」
そう言って、力一杯抱き締めた…
「痛い…痛いよ…」
「ゴメン…嬉しくて…」
急に体を離され、私はふらつきまた彼に抱き締められた。
今度は優しく、暖かい抱擁だった…
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