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「そんなに飲まないわよ?」
「いや…なるべく酔ってくれ…」
一瞬深刻な表情をしたが、すぐに笑顔になって
「痛みの感覚麻痺して痛くなくなるかも知れないし。」
と、言った。
少し気になったが、飲み始めた。まだ喉は痛かったが、心地良かった。二本目を飲み終えトイレに立ち戻って来ると、ソファに並んで座るように促される。膝を斜めに合わせるように腰かけると、彼も座りなおし向かい合い私を真っ直ぐ見つめた。
「聞いて貰いたい事がある。」
私は頷いた。
「俺に離婚歴がある事は言ったよね。その理由を知って貰いたい。知った上でお前が今後どうするか、判断は任せる。」
私は息を飲み、彼を見つめた。
「俺の…には、生殖能力は無いんだ。ただの液体でしかない。」
言葉を無理に吐き出す様に続ける。
「いつからなのか、原因は何なのか分からない。兎も角検査の結果丸っきり能力のないモノでしかない。もし、お前が普通に子供を産み育てる…という希望があるなら…」
私は人差し指で彼の唇を押さえ言葉を止める…戸惑う表情の彼を笑顔で見つめ、頭を振った。
「いい…もう…それ以上言わなくても…わかったから…」
「だけど…」
「良いの…私も黙ってた事があるの…今度は私の番。」
私は真っ直ぐ彼を見つめ直した。
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