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「私はすっかり自信を無くして…生きている意味も分からなかった。」
ついに涙が溢れ落ちる…
「一年近くたって、親にも迷惑をかけ続けられないし、少し他人と触れた方が気が晴れるかもしれないんだから…と言われてパートに出始めた。一日3時間程度の仕事だったけど、やる事がある生活は少しずつ気持ちを晴れさせた。私は貰った給料で携帯を買った…そして貴方と出会った。そして分かった。世の中から身を隠すような生活を強いられ、更に自分の意思でそんな生活をしていたけれど、本当は誰かに気付いて欲しかった。必要として欲しかった。」
涙を拭い、思いきったように続ける。
「ただ、私という人間を愛して欲しかった。愛したかった。笑顔を向けて欲しかった。貴方が愛していると言ってくれた時本当に嬉しかった。此処に来る時貴方が愛していると言ってくれる間は、全て受け入れる覚悟で来た。捨てられたら…迷惑そうな顔をされたら、その足で死ぬつもりで…」
彼は黙って体を引き寄せ抱き締め、背中を撫でた。暖かい掌は私を安心させる。
「私…此処にいてもいいんだよね?」
抱き締める手に力がこもる。
「どこにも行くな。俺と二人で生きてくれ。ずっと一緒だ…」
二人はただ涙を流して抱きあっていた。
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