尚美27才

3/12
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
尚美24才の秋…     『場違いだな…』 “私”は、付き合いの有る建設会社のパーティー会場の隅で、帰るタイミングを見計らっていた。   コンパニオンの一人が近付いてきて… 『お飲み物を何か?』   『いや、場違いっぽいんで早く退散したいから…』   コンパニオンが『クスッ』と笑う。 『ごめんなさい。失礼なつもりでは無く、遠慮する方は「ありがとう、結構です」とか「いらない」とかしか言わないのに、場違いだから…と言う理由をおっしゃった方は初めてなので。』   『そう、やはり答え方も場違いだよね。』 “私”はニコッと笑いながら続けた 『でも、君が相手してくれるなら、まだ居ても良いかな。』   『お上手ですね。でも、私が付くと営業してしまうかも。』   『営業?』 『ハイ、クラブに勤めて居ます。本当はいけないんですが…』 と、名刺を差し出してきた。   [クラブ“姫”         田口尚美]    “私”は心底驚きながら 『“姫”なんて益々場違いだよ。失礼かも知れないけれど、日本No.2の店じゃないの。』   『えぇ、'純子'があるから、決してNo.1になれない店のヘルプですけどね。』 と、尚美は微笑んだ。      
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!