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尚美24才の秋…
『場違いだな…』
“私”は、付き合いの有る建設会社のパーティー会場の隅で、帰るタイミングを見計らっていた。
コンパニオンの一人が近付いてきて…
『お飲み物を何か?』
『いや、場違いっぽいんで早く退散したいから…』
コンパニオンが『クスッ』と笑う。
『ごめんなさい。失礼なつもりでは無く、遠慮する方は「ありがとう、結構です」とか「いらない」とかしか言わないのに、場違いだから…と言う理由をおっしゃった方は初めてなので。』
『そう、やはり答え方も場違いだよね。』
“私”はニコッと笑いながら続けた
『でも、君が相手してくれるなら、まだ居ても良いかな。』
『お上手ですね。でも、私が付くと営業してしまうかも。』
『営業?』
『ハイ、クラブに勤めて居ます。本当はいけないんですが…』
と、名刺を差し出してきた。
[クラブ“姫”
田口尚美]
“私”は心底驚きながら
『“姫”なんて益々場違いだよ。失礼かも知れないけれど、日本No.2の店じゃないの。』
『えぇ、'純子'があるから、決してNo.1になれない店のヘルプですけどね。』
と、尚美は微笑んだ。
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