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「あ……」
ふと気がつくと、いつの間にか冷たい水滴が私の鼻の頭にくっついている。
「雪、降ってきちゃった」
空から降ってくる小さな雪を見上げ、私は小さく呟き、ポケットから携帯を取り出す。
時刻は16時54分
もうそろそろ友達がやってきてもおかしくない時間帯だ。
そう思いながら、再度私は降ってくる雪を見上げ、駅の中へと後ろ向きのままゆっくりと下がって行く。
「い~りあ!」
「きゃっ!」
名前を呼ぶ声がしたと思った瞬間に、私の体は強い衝撃に前へと押し出される。
「あ……」
「……」
そして、その結果……
「あ、あはは。派手に行ったね~」
バランスを崩した私は、道の脇にある雪と泥の混ざった塊へと突っ込んでしまったのだ。
しかも……手と顔だけ……
「……痛い、冷たい」
その塊から顔を抜き出し、小さく呟く私……
「そりゃあ、転んで雪の中へ~……だし?」
「三津祢が押すからだよ!」
私を押したと思われる女の子に向かって、私は大きな声で文句を浴びせる。
「いや~、まさかそこまで行くとは思ってなかったもんで」
などと言いながら、面白そうに笑い出す女の子……
この女の子こそ、私が待っていた友達。
昔からの無二の親友とも言える人物なのだ。
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