ガイアの子「ティタン」

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そして長い年月が過ぎ、海面に浮かび漂い続けた肉塊から、白い泡が湧いて出てくると、その泡の中に言葉では言い表せほど美しい女の子があらわれた。 その女の子は泡に乗り、海面を漂い始めた。 彼女は海の波間を流れのままに漂いながら、泡の中で成長していったのです。 彼女はギリシャ神話の中でも、絶世の美女といわれる女神、アフロディテとなったのです。 美と愛の女神、アフロディテ。 「西風の神」ゼピュロスが彼女の元にどこからともなく現れてくると、アフロディテの乗る泡に息を吹きかけて東へ、東へと運んでゆく。 泡はギリシャ本土の南の沖をを通り過ぎると、なおも東へ東へ移動し続けた。 そしてついに地中海の東端、キプロス島に漂着したのです。 そこで初めてアフロディテは陸に上がる。 眩いばかりの裸身を泡から惜しげもなく表すと、女神は初めて「地面」に足を着けたのです。
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