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「関係ない?
そうなのか?」
「うん。
魔力は人間の基本能力の一つよ」
「じゃあ…俺にもあるってことか?」
少し、胸が昂っていた。
「一概には言えないわ。
姉のように持たない人もいるから。
」
一息つく。
「魔力があっても才能がないと扱うのは難しいし、扱えても魔法として発動するには持ち前の魔力の大きさと練習がいる。」
昔、町の祭りで魔法だと言って手品のようにパフォーマンスをする男がいた。
その時は、純粋にすごいと思った気がするが、昨日気を失う前に見たシリアの魔法の方が断然凄いと、なんとなく分かる。
「私は魔力だけは人一倍、いえ抜きん出て持って生まれた。
姉は…持たなかった」
少しシリアが俯いた。
「姉は誰より勉強家で頭も良かった。
私よりずっと才能はあったと思う」
「皮肉だな。」
寂しそうに笑う。
「そう…。
セント・ウィズダムで暮らしにくかった姉は、5年前に出ていったの」
「だから君が後継者なんだな」
コクンと頷く。
「私は悔しい思いをした姉の分まで、立派なソーサラーになって司祭にならなきゃいけないんだ」
最後は自分に言い聞かせているようだった。
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