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「4日前に、襲撃を受けた」
シリアが息を飲むのが分かった。
「あまりに突然で…町を囲まれて。
多分、いや、全滅した。」
身体中が熱くなる。
目頭が熱くなる。
ルーザーは目を閉じた。
今でも生々しく情景が蘇る。
当然だ。
たかが4日前だ。
「な…なんで……」
シリアから出たのはか細い声。
ルーザーはゆっくりと目を開ける。
「知るか。
俺が聞きたい」
「海賊…?」
海や山を拠点に盗賊行為をする海賊や山賊といった類いの集団はいろんなところに存在する。
しかし、町を一つ潰せるような力を持つのは現実的に不可能だ。
ルーザーの脳裏に蘇るのは、大勢の兵士とソーサラー。
彼らが一様に身に纏っていた真っ赤なマントと金の刺繍の紋章。
見間違えるわけない。
あれは…あの紋章は……。
言っても無駄だ。
誰も信じるわけない。
心の中で大きくかぶりを振った。
頬を生暖かいものが伝い、それが自分の流した涙だと気付くのに、数秒かかった。
もう、枯れたと思ったのに。
「ルーザー…」
シリアはそっと近付くと自分の両手でルーザーの両手を包んだ。
そこで初めてシリアも泣いていることに気付いた。
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