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朝は自然に訪れた。
日差しと共にゆっくりと目を開ける。
「ルーザー、おはよう!」
急に横から視界に入ってきたのは、シリアだった。
「あ、うん、おはよ…」
上半身を持ち上げる。
「気分はどう?」
「あぁ……平気」
良い、と答えるのも、悪い、と答えるのも一致しなかった。
「良かった」
シリアは「平気」を「良い」と解釈したのだろう。
ニコッと笑った。
「ちょうど起こそうかなって思ってたの。
朝ごはん食べよ?」
「あ、うん」
まだ起ききらない頭でもそもそとベッドから出る。
「顔、洗ってきたら?
あと服も乾いてたわよ」
言われるがままにのそのそと外へ行く。
シリアはそんな姿に、ララナで暮らしていたルーザーの朝を垣間見た気がした。
「朝は弱いのね」
呟いて、なんとなく弱点を知ったようで嬉しくなった。
ルーザーが戻ってくると、昨日のように床に座り缶詰めをいただく。
「俺、昨日ずっと寝てたのか?」
「うん、ぐっすり眠ってたわよ」
「シリアはどこで寝たんだ?」
ルーザーは部屋を見渡す。
ベッドはルーザーが使ったものしかない。
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