ルーザー・マテライト

3/7
前へ
/463ページ
次へ
あれから何日たったんだ…? 酸欠気味の頭で考える。 3日……か。 もう身体中が干からびて涙も出てこない。 感情までもどこかへ落としてきてしまったようだ。 無言で重たい足を持ち上げて、下ろす。 その単純作業を繰り返す。 顔を上げて、周りを見渡そう、と思った瞬間。 ぞわっとした不快感を背筋に感じ、振り返った。 ルーザーが見定めたその先には――― 草木の間から覗くいくつもの黄色く光る目。 (モンスター……) ルーザーはモンスターから視線を逸らさずに、ゆっくりと剣の柄に手を伸ばす。 そのままジリジリと足を滑らせ後ろに移動する。 モンスターと呼ばれる生き物は、大抵凶暴化した動物を指す。 野生の動物には通常の正常な動物と、それより数は少ないが、突然変異で凶暴化する動物がいる。 基本的に、モンスターとは人間を襲うような動物のことを言う。 今ルーザーが対峙しているのは、元は犬や狼のような種類のモンスターだ。 この手の種類は機敏性もある上に殺傷力も強い、危険なモンスターである。 ざっと数は6、7匹。 (どうする…全部潰せる体力はない……) 思考を回転させるが、逃げても戦っても、絶望的な気がした。 モンスターはジリジリと間合いを詰めてくる。 (来るっ……!) 剣を引き抜く。 モンスターたちは唸りながら一気に距離を縮め、ルーザーに飛びかかってきた、その時。 「アイスウォール!!」 何処からか声が聞こえ、ルーザーとモンスターの間に巨大な氷の壁が現れた。 モンスターたちは勢いよく壁にぶつかる。 キャインキャインと鳴きながら、モンスターたちは森の中に逃げていった。 それを見届けたかのように、モンスターがいなくなると壁は風化するようにさぁっと消えていった。 「魔法…?」 ポカンとしたまま、声のしたほうを見る。 と、誰かが小走りで近寄ってくる。 (金髪の…女……) その方を見ながらルーザーは意識を手放した。 遠くの方で慌てる少女の声を聞きながら。
/463ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加