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あれから何日たったんだ…?
酸欠気味の頭で考える。
3日……か。
もう身体中が干からびて涙も出てこない。
感情までもどこかへ落としてきてしまったようだ。
無言で重たい足を持ち上げて、下ろす。
その単純作業を繰り返す。
顔を上げて、周りを見渡そう、と思った瞬間。
ぞわっとした不快感を背筋に感じ、振り返った。
ルーザーが見定めたその先には―――
草木の間から覗くいくつもの黄色く光る目。
(モンスター……)
ルーザーはモンスターから視線を逸らさずに、ゆっくりと剣の柄に手を伸ばす。
そのままジリジリと足を滑らせ後ろに移動する。
モンスターと呼ばれる生き物は、大抵凶暴化した動物を指す。
野生の動物には通常の正常な動物と、それより数は少ないが、突然変異で凶暴化する動物がいる。
基本的に、モンスターとは人間を襲うような動物のことを言う。
今ルーザーが対峙しているのは、元は犬や狼のような種類のモンスターだ。
この手の種類は機敏性もある上に殺傷力も強い、危険なモンスターである。
ざっと数は6、7匹。
(どうする…全部潰せる体力はない……)
思考を回転させるが、逃げても戦っても、絶望的な気がした。
モンスターはジリジリと間合いを詰めてくる。
(来るっ……!)
剣を引き抜く。
モンスターたちは唸りながら一気に距離を縮め、ルーザーに飛びかかってきた、その時。
「アイスウォール!!」
何処からか声が聞こえ、ルーザーとモンスターの間に巨大な氷の壁が現れた。
モンスターたちは勢いよく壁にぶつかる。
キャインキャインと鳴きながら、モンスターたちは森の中に逃げていった。
それを見届けたかのように、モンスターがいなくなると壁は風化するようにさぁっと消えていった。
「魔法…?」
ポカンとしたまま、声のしたほうを見る。
と、誰かが小走りで近寄ってくる。
(金髪の…女……)
その方を見ながらルーザーは意識を手放した。
遠くの方で慌てる少女の声を聞きながら。
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