44人が本棚に入れています
本棚に追加
真っ青な空と清々しい空気。
そんな朝がルーザーは大好きだった。
町の外の森に向かって歩く。
日課のトレーニングだ。
それに、愛しい人にも会える。
ウキウキしながら進むと、すぐ、目指している場所に女性の後ろ姿が見えた。
「シャンテ!!」
大きな声で叫ぶ。
シャンテと呼ばれた彼女はゆっくりと振り返った。
栗色の長い髪がふわっと揺れる。
そしてルーザーを見て優しく微笑んだ。
手を振りながらシャンテの方へ走りだそうとしたその時、二人の間を突如真っ赤な炎が遮った。
一気に温度が上がった空気に、身体中の水分が蒸発してゆく。
「シャンテ!シャンテ!!」
炎の間から向こう側を覗く。
シャンテの近くには数人の男たちが近づいていた。
みな同じ格好をしている。
鎧に真っ赤なマント。
その中には紋章のような柄が描かれている。
その紋章にルーザーは見覚えがあった。
「おい!テメーら!!
シャンテから離れろ!!!」
叫ぶが聞こえていないのか、無視されているのか。
男たちは剣を携えながらシャンテの側まで近付き、そして―――。
刺した。
「うあぁぁぁぁっっっっっ!!!」
最初のコメントを投稿しよう!