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新聞の記事では、それ以上の詳細は分からなかった。
『海上で何があったのか覚えてる?』
エレナは下を向いたまま首を横に振った。
「わからない、何も。」
《幼いエレナ様には、記憶に残って無いのでございましょうねぇ。》
エレナは、顔を上げてもう一度首を横に振ってみせた。
「違うの!急に真っ暗になって、パイロットが悲鳴を挙げて、それから…えっと……、わからないの。」
小刻みに震えるエレナ。
『何だかわからないけど、よっぽど怖い思いをしたんだわ!そうよね?』
優菜は優しく問い掛け、慰めた。
『ジョージ!当時、事故現場となった正確な位置を調べる事が出来るかしら?』
《はい!解析いたしますぅ!》
ジョージは慌ててメインコンピューターに向かい、カチャカチャとキーボードを叩き始めた。
《時間がかかるかと思われます故、お嬢様方はごゆるりとおくつろぎ下さいましぃ。》
カチャカチャカチャ
『エレナ?当時の事、他に思い出せたりするかなぁ?あ、無理はしなくて良いからね。』
「いいえ、頑張って思い出します!」
キリリとした顔で応えたエレナは、しばし考え込んでみた。
「あの悲鳴を聞いてから…、あ!そうだそうだ!」
『何か思い出したの!?』
「お父様が言ったの!
【また奪いに来たのか!?】って!」
『奪いに!?何を?』
「よくわからないけど……、私の顔、半分無いでしょ?私が死んだ時、お父様もお母様も、まだ生きていたはずなの。だから、最初に死んだのは私だったから……。」
『エレナの顔が目的?』
優菜は鳥肌が立つのを感じながらも考えを巡らせていた。
『やっぱり、この事故は起きてしまったんじゃなく、起こされたモノだったって事だわ!何者かの手によってね!』
カチャカチャカチャ
《解析にかなりの時間がかかります!お嬢様の力を試してみてわぁ?》
『ちから?何のこと!?』
コンピューターを叩きながらジョージは説明する。
《お嬢様には、優美様の力がそのまま受け継がれておられるはず!ですから、優美様の、人の記憶をさかのぼる力が備わっているかとぉ。》
『えぇぇ!?それってスゴくない?エスパーみたいじゃん!どうすれば良いの!?』
《確か…、額に手を当てたりするのではないかとぉ。》
『わかった!駄目もとでやってみる!!』
優菜は、エレナの額に手をあてがって、瞳を閉じ集中した。
頭の中に、何かが飛び込んで来た。
『これは……!』
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