只今修行中

3/4
前へ
/17ページ
次へ
新聞の記事では、それ以上の詳細は分からなかった。 『海上で何があったのか覚えてる?』 エレナは下を向いたまま首を横に振った。 「わからない、何も。」 《幼いエレナ様には、記憶に残って無いのでございましょうねぇ。》 エレナは、顔を上げてもう一度首を横に振ってみせた。 「違うの!急に真っ暗になって、パイロットが悲鳴を挙げて、それから…えっと……、わからないの。」 小刻みに震えるエレナ。 『何だかわからないけど、よっぽど怖い思いをしたんだわ!そうよね?』 優菜は優しく問い掛け、慰めた。 『ジョージ!当時、事故現場となった正確な位置を調べる事が出来るかしら?』 《はい!解析いたしますぅ!》 ジョージは慌ててメインコンピューターに向かい、カチャカチャとキーボードを叩き始めた。 《時間がかかるかと思われます故、お嬢様方はごゆるりとおくつろぎ下さいましぃ。》 カチャカチャカチャ 『エレナ?当時の事、他に思い出せたりするかなぁ?あ、無理はしなくて良いからね。』 「いいえ、頑張って思い出します!」 キリリとした顔で応えたエレナは、しばし考え込んでみた。 「あの悲鳴を聞いてから…、あ!そうだそうだ!」 『何か思い出したの!?』 「お父様が言ったの! 【また奪いに来たのか!?】って!」 『奪いに!?何を?』 「よくわからないけど……、私の顔、半分無いでしょ?私が死んだ時、お父様もお母様も、まだ生きていたはずなの。だから、最初に死んだのは私だったから……。」 『エレナの顔が目的?』 優菜は鳥肌が立つのを感じながらも考えを巡らせていた。 『やっぱり、この事故は起きてしまったんじゃなく、起こされたモノだったって事だわ!何者かの手によってね!』 カチャカチャカチャ 《解析にかなりの時間がかかります!お嬢様の力を試してみてわぁ?》 『ちから?何のこと!?』 コンピューターを叩きながらジョージは説明する。 《お嬢様には、優美様の力がそのまま受け継がれておられるはず!ですから、優美様の、人の記憶をさかのぼる力が備わっているかとぉ。》 『えぇぇ!?それってスゴくない?エスパーみたいじゃん!どうすれば良いの!?』 《確か…、額に手を当てたりするのではないかとぉ。》 『わかった!駄目もとでやってみる!!』 優菜は、エレナの額に手をあてがって、瞳を閉じ集中した。 頭の中に、何かが飛び込んで来た。 『これは……!』
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加