只今修行中

4/4
前へ
/17ページ
次へ
‡旅客機の中‡ ガタガタガタガタ 「お父様!何だかいつもより揺れます!」 エレナの怯えた声。 「何だい、エレナ怖いのかい?大丈夫だよ。」 エレナをなだめながらも不安気な男。 財閥の社長で、エレナの父だ。 「貴方!やっぱり揺れますわ!」 危機感のある女の声は、エレナの母。 「あっ!?真っ暗!!お父様ぁ!」 父の袖口を掴むエレナ。 ウワアァァァ!! 運転席の方から悲鳴が聞こえる。 窓の外は闇黒世界。 だが、何かが蠢いて見える。 暗いのではなく、貼り付いている様だ。 ミシッ! ミシミシッ! 「何か来るぅ。お父様!」 「貴方、どうなってるの!?パイロットの声が聞こえたわ!」 エレナ達に近づき、しっかりと抱きしめる母。 ミシミシミシッ! パリンッ!! 窓が割れた。 何物かわからないモノが、機体にまかり付いて締め付けているのだ。 破られた窓から、黒い手の様なモノが延びて来て、エレナに近づく。 「また奪いにきたのかっ!!」 激しい口調の父。 必死でエレナを守ろうとする。 が、簡単に引き剥がされ機内の壁に打ち付けられた。 両脇に飛ばされた両親はエレナに手を伸ばすが、既に黒い手に捕まり宙に浮かぶエレナ。 「キャアアァァァ!!」 泣き叫び失神。 「エレナぁ!!」 「やめてぇ!!」 両親の声が虚しく響く…。 ハッ!! 夢から覚めたかの様に優菜は目を開いた。 『い、今のが…。』 「お姉ちゃん?」 心配そうに顔を覗き込むエレナ。 『アハハ!大丈夫よん♪』 《上手くいったので御座いますねぇ?》 カチャカチャカチャ 『うん。でも、もう少しだった。』 エレナの潜在的記憶は、亡くなるまでしか残っていなかったのだ。 『エレナ。きっと成仏させてあげるからね!』 顔を見合わせ、ニッコリと笑い合う二人。 《お嬢様ぁ!解析出来ましたぁ♪》 『えっ!?どこ?』 《魔の海域と言われる場所ではないかとぉ。》 『魔の海域?それって、魔の三角地帯の事?!』 《そうかと思われますぅ。》 魔の三角地帯。 そこは、数多くの死者を生む海域。 これまでの事故数は数え切れない。 『何故、そんな危険な場所を通ったのかしら?』 「あの時…。」 エレナは考えながらうつむいた。 『あの時どうしたの?』 「ガタガタが来る前に、飛行機が大きく向きを変えたみたいだったよ。」 『え?じゃあ、操られたって事かなぁ!』 《誘われたのではぁ?》 『だとすると、そこに行くのはかなり危険ね!』
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加