夜のざわつき

2/3
前へ
/17ページ
次へ
言いながら優美は手の平をかざし、その憐れな残骸を掃除していく。 グチョグチョの残骸は次々と蒸発した様に消えていく。 シュタンッ! 上空から舞い降りた拓哉は頭をポリポリかいてみせた。 『全くもうっ!』 ヘリから降りた優美はビルの下を眺めるや否や、両方の手を胸の前で合わせ、念を込め一気に解き放った。 ビルをよじ登るバケモノは、砂を吹き飛ばすかの様に散って消えた。 「相変わらず鮮やかだね♪」 拍手する拓哉。 『あなたも頑張って!』 「ハ~イ♪」 30階建てのビルから飛び降り、回転しながら気を飛ばす拓哉。 ビルの壁や、その下の方でグチャグチャと肉片が飛び散る。 優美は顔に手を当て、指の間からその光景をみながら溜息。 『あちゃー。相変わらず乱暴ね。』 仕方なく優美はまた掃除をしていく。 『私が居なかったら、この街はグチャグチャになっちゃうわ!』 「そんなこと言ってる場合かい!?」 目の前にヌラヌラと赤黒いバケモノ達が、意外なスピードで迫っていた。 だが、優美は臆する事無く拓哉の前に立ち、両手をかざす 拓哉は優美の前にスルリとと入れ替わると、群集の中へと走って行く。 竜巻の様に回転した拓哉に吸い込まれて行くバケモノ達は、そのまま舞い上がり遥か上空へ。 「優美!今だよ。」 優美は頷き、空に向かって気合いの一発。 シュコーン!! まるで雪が舞い降りる様にバケモノの粉がフワフワと降ってくる。 『綺麗ねぇ♪』 「とか、言ってる場合じゃないぞ!」 またしても沸いて出てくる。 一体全体何処からくるのか、無数のバケモノは絶える事を知らない。 そんな事を繰り返している内に夜明けが近付いてくる。 『そろそろね。』 「ああ。」 辺りがうっすらと明るくなると、奴等は悲鳴と共に何処かへ逃げていく。 ギヤャャー! ウワアァァァ!! 訳の解らない叫び声。 逃げ遅れた奴等は朝日で酷い火傷を負い、ただれたり、黒こげになって消えていった。 『ねぇ。コイツら、私達が殺らなくても朝がくれば居なくなるから良く無くない?』 「そうゆう訳には行かないだろ!実際、一晩中暴れてるんだ。」 『そうね。あれじゃ、隠れてる生き残りも危ういしね!』 「帰るよ。ジョーに合図して頂戴♪」 優美はいつもの様に、発煙筒に火を点けて空に向かって合図した。 程なくジョーの運転するヘリが到着。 家路を急いだ。 『何だか、段々殖えてるみたいだわ…。』 ババババ
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加