夜のざわつき

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日没近くに出発し、日の出と共に帰宅する。 そんな毎日の繰り返し。 こんな闘いに一体何の意味があるのか。 近頃二人は思っていた。 しかし、次第に勢力を増すバケモノ達。 早く優菜がハンターとして成長するのを待つばかりだった。 《お疲れ様に御座います♪》 やっと帰り着いた二人の元に、一本の電話が鳴り響く。 トゥルルルルルルルルッ 《はい!どちら様で?》 ― お久しぶりで御座いますぅ~♪ジョージに御座います♪ ―     電話は優菜の執事からだった。 エレナの件を報告してきたのだ。 《少々お待ちを!》 《奥様ぁ~♪ ジョージめから御電話に御座います♪》 バタバタバタバッ!! 『もしもし!何!?どうしたの!?優菜は元気!?どうしてる!?』 ― ………… ― 『何!?何か言ってよ!!』 ― そんなに一度に聞かれても…。 ― 『あ。ごめんなさいね♪久々の連絡だぁ~!!と思って舞い上がっちゃってね~。で!?何かあったかな?』 ― 実は…。 ― ジョージは、これまでのいきさつを手短に話し、事故現場に行こうかどうかと優菜が悩んでいる事を伝えた。 『何ですって!?エレナさんの事は知らないでもないわ!でも、優菜があそこへ行くのは反対よ!!』 ― やはり、危険で御座いますかねぇ~。 ― 『当たり前よ!!』 ― そんなに怒鳴らなくてもぉ~。― 『あら!ごめんなさい。所で優菜は!?』 ― 御入浴中に御座います。この電話は内緒に御座いますゆえ…。 ― ガチャッ! ― ツーッ ツーッ ツーッ ― 『………。』 いきなり電話を切られて唖然とする優美。 「どしたぁ?」 『知らないわよっ!!』 「何で怒ってるのぉ~?」 《お嬢様とお話出来なかったように御座います。》 「八つ当たりかよぉ!」 《よっぽど優菜様に会いたいので御座いましょうね。》 「そりゃ俺だって会いたいさ!でも、あの子には宿命がある。執事ジョージと共に成長し、成さねばならないんだ。」 《はい…で御座います。》 そしてまた夜が来る。 日に日に勢力を増すバケモノ達が、いつ基地の方に気付くかもわからない。 二人は夜動き、昼休む生活を繰り返していく他無かった。 そんな日々を過ごす優美の体は、少しずつではあるが痛みを残すようになっていた。 今のところ誰も知らない。 執事ジョーただ一人を除いて。 『早く優菜に会いたいよぉ~!』 時間が無いのよ、私には…。 《優美様…。今しばらくで御座います!》
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