*17* 星の原

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一行はゾロゾロと沙那について 歩く。 水の洞窟でかなり体力を消耗 したため、もうヘトヘトだ。 沙那の家は、噴水のある場所 から歩いて3分程の場所にあった。 沙那は、鉄製の立派な門を開け ると、皆を誘導する。 「…………」 裕明はふと名前の標札を見て 立ち止まる。 「(さなっちの苗字って、 そういえば聞いてなかったよな……)」 裕明は暗闇の中、目を懲らして 見ようとしたが、よくわからない。 「(上の方が貧……かな、いや賀?貴?)」 「ひろくん、何してんのー?」 遠くから聞こえてきた声に驚い て、視線を上げると、もう みんな沙那の家の中に入る所 だった。 「ごめん!今行く」 裕明は、すぐに走って家の中に 入った。 暗い建物の中は、正直言って 怖い…… 沙那の家は広々としていて、 人の気配が全くなく、いっそう 怖さを掻き立てる。 「お母さんは私が小さいころ 病気で死んじゃったし…… お父さんはお仕事で、ほとんど 家に帰って来ないんです」 沙那はフローライトを顔の高さ ぐらいの場所にふわふわ浮かべ ながら、寂しそうに笑った。  
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