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最初に感じたのは驚くほどの
寒さ……
今まで感じていた温かな風とは
全然違う。
どこか寂しささえ感じる冷たさ
賢介と沙那は聖龍の間に着くと
その光景に驚いた。
広いドーム状の聖龍の間が、
大きな氷の塊によって埋まっていたのだ。
それはまるで……時間すら
凍りついて止まってしまったかのような光景。
賢介は氷の塊の中心を見た。
そこには、ボロボロの姿の
ヴァンネルがいた。
しかし、賢介はヴァンネルの
居るところまでいけない。
分厚い氷が立ちはだかる。
それは、まるで氷の城だった。
「この氷をなんとかして溶かさないと……」
沙那は言うが、それは簡単な
ことじゃない。
氷を溶かす存在……炎の存在が
いないのだ。
どうやったらこの止まった時間
を動かせる……?
「僕が……やらないと」
賢介は錫丈に付けた
アクアマリンの聖晶石を見る。
「でも……どうやって?」
沙那は不安げに賢介を見る。
炎を使えない今、この氷を
溶かすには……
「水を使います……」
賢介はそういって錫丈を振る。
シャランという涼やかな音と
ともに、アクアマリンが淡く輝く。
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