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一方、錯絽と柚芭は洞窟の外へ
逃げ出していた。
「あ~ぁ……これじゃあ失敗
やな……な、ゆずちゃん」
柚芭はじっと洞窟を見つめる。
「晴明さまは……どうして
私たちと来てくれないので
しょう……?」
「……そやなぁ」
錯絽はおどけてみせた。
「一人が好きなんやないかな、やっぱり……」
「そう……ですか」
柚芭は何故か残念そうな顔をする。
錯絽は少しだけ微笑むと、
どこか遠くに向かって話しかけた。
自分に言い聞かせるように……
「結局自分らには……答えはわからんのや」
そう、答えなんて初めからない
自分たちは、所詮一つの駒……
「晴明……今回は見逃したる
だが、次は覚悟しとくんやな」
錯絽はそう言い残して闇の中に姿を消す。
柚芭は去り際にもう一度洞窟をみてから、錯絽の後を追った。
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