*15* 消える者

7/9
前へ
/209ページ
次へ
一方、錯絽と柚芭は洞窟の外へ 逃げ出していた。 「あ~ぁ……これじゃあ失敗 やな……な、ゆずちゃん」 柚芭はじっと洞窟を見つめる。 「晴明さまは……どうして 私たちと来てくれないので しょう……?」 「……そやなぁ」 錯絽はおどけてみせた。 「一人が好きなんやないかな、やっぱり……」 「そう……ですか」 柚芭は何故か残念そうな顔をする。 錯絽は少しだけ微笑むと、 どこか遠くに向かって話しかけた。 自分に言い聞かせるように…… 「結局自分らには……答えはわからんのや」 そう、答えなんて初めからない 自分たちは、所詮一つの駒…… 「晴明……今回は見逃したる だが、次は覚悟しとくんやな」 錯絽はそう言い残して闇の中に姿を消す。 柚芭は去り際にもう一度洞窟をみてから、錯絽の後を追った。  
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加