*16* 契約

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裕明は答えられなかった。 自分は安倍晴明の生まれ変わり だとかなんとか言われて いるが、陰陽道なんか何一つ 知らない。 以前一度だけシャドウザークを 呼び出したことはあるが、 今では呼び方もわからない。 そんな自分が陰陽師などと 言えるのだろうか。 「もし……俺が陰陽師なら ……何なんだ?」 『私を式神として契約して 欲しいのです』 裕明は言われたことが理解でき なくなり、しばらく固まる。 「あのね、ひろくん」 見兼ねた雫が助け舟を出してくれた。 「聖晶石と離れて行き場を 無くした精霊は、式神として 陰陽師に仕えることができるのよ」 つまりはこういうことだ。 聖晶石には必ずその属性ごとに 精霊が宿っている。 聖晶石を人が使うためには、 聖晶石と精霊は、離れる必要がある。 そして離れた精霊は、式神と して陰陽師に仕えることが出来るようになる。 しかし…… 陰陽師に仕えることの出来なか った精霊は、闇に還ることに なっている。 ――消滅 ……それが、精霊の運命。  
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