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「だから、私も、もしかしたら
ひろくんがアクアマリンと契約
出来るんじゃないかと思って
ここに来たの」
(契約出来なければ……消える
存在……か)
裕明は頭の中で考えながら、
アクアマリンに向き直る。
「どうやれば契約できるんだ?」
『その剣に聞くのが早いと
思いますが……』
「え?」
言われて、裕明は腰に提げて
いた剣を引き抜く。
『まったく、ら~がいないと
本当ダメダメなのらね~』
ああ……こいつ本当に腹が立つ
「で、お前契約の仕方知ってるのかよ?」
『ら~を舐めてもらっちゃ困る
のら!それぐらい朝飯前なのら~』
(こいつ飯食べるのか?!)
ツッコミどころはそこではない
が、とりあえず心の中で
ツッコミを入れておく。
「そういえばひろくん、その剣
なんって名前なの?」
剣とのやりとりを今までじっと
見ていた雫は、どこか瞳を
怪しく光らせながら言う。
「名前なんかあんのか?」
『らっ、失礼らね!ら~はあの
有名な聖剣
"草薙剣(くさなぎのつるぎ)"
なのらよ~』
有名な……と言われても、裕明
はさっぱりわからなかった。
「へー……そう」
『な、なんなのらその薄い
反応はっ!』
「ナギー……」
言い合う裕明たちの横で、雫が
ぽつりと呟いた。
「貴方の名前は今からナギーね
わかった?」
ものすごい笑顔である。
いや、有無を言わせない笑顔で
ある。
「なに?文句あるの?」
「い、いやいや、俺はすっごくいいと思う!」
裕明は激しく首を縦に振った。
「ナギー、いいかな?」
『ら……わかったのら』
珍しく弱気な草薙剣ことナギー
を見て、裕明は少しだけほくそ笑んだ。
結局誰も雫には逆らえないのである。
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