*16* 契約

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「だから、私も、もしかしたら ひろくんがアクアマリンと契約 出来るんじゃないかと思って ここに来たの」 (契約出来なければ……消える 存在……か) 裕明は頭の中で考えながら、 アクアマリンに向き直る。 「どうやれば契約できるんだ?」 『その剣に聞くのが早いと 思いますが……』 「え?」 言われて、裕明は腰に提げて いた剣を引き抜く。 『まったく、ら~がいないと 本当ダメダメなのらね~』 ああ……こいつ本当に腹が立つ 「で、お前契約の仕方知ってるのかよ?」 『ら~を舐めてもらっちゃ困る のら!それぐらい朝飯前なのら~』 (こいつ飯食べるのか?!) ツッコミどころはそこではない が、とりあえず心の中で ツッコミを入れておく。 「そういえばひろくん、その剣 なんって名前なの?」 剣とのやりとりを今までじっと 見ていた雫は、どこか瞳を 怪しく光らせながら言う。 「名前なんかあんのか?」 『らっ、失礼らね!ら~はあの 有名な聖剣 "草薙剣(くさなぎのつるぎ)" なのらよ~』 有名な……と言われても、裕明 はさっぱりわからなかった。 「へー……そう」 『な、なんなのらその薄い 反応はっ!』 「ナギー……」 言い合う裕明たちの横で、雫が ぽつりと呟いた。 「貴方の名前は今からナギーね わかった?」 ものすごい笑顔である。 いや、有無を言わせない笑顔で ある。 「なに?文句あるの?」 「い、いやいや、俺はすっごくいいと思う!」 裕明は激しく首を縦に振った。 「ナギー、いいかな?」 『ら……わかったのら』 珍しく弱気な草薙剣ことナギー を見て、裕明は少しだけほくそ笑んだ。 結局誰も雫には逆らえないのである。  
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