*16* 契約

6/10
前へ
/209ページ
次へ
ナギーは不思議な気持ちで雫を見た。 『(まさかとは思ったのらけど ……本当に?)』 "彼女"と 再び会うことになるなんて そもそも、確かに彼女に記憶はない筈なのだ なのに、何故…… 過 去 と 同 じ 名 前 を ? 「おい、ナギー契約するぞ!」 裕明の声によってナギーの 物思いは中断された。 『わ、わかったのら! ら~の後に続いて唱えるのらよ?』 「あぁ……わかった」 ナギーは契約の唄を歌う。 『――……契約者の名の下に 命ずる 来たれ青き精霊よ、血の契約 に従い我が元へ……』 裕明とアクアマリンの周りに 五行の陣が浮かび上がる。 アクアマリンは消え入るように 草薙剣の中に吸い込まれて いった。 『アクアマリン……』 キラリと草薙剣についている クリスタルのようなものが 光る。 中にアクアマリンが居るのだと 裕明は確信した。 「お疲れひろくん! かっこよかったよw」 雫は裕明の元に来ると、 にっこり笑って言った。 「マジで?マジで?」 『ま、ら~のお陰だけどらね~』 再び裕明とナギーの言い合いが 始まる。 雫は謎のお札を裕明に貼付けて ずるずると裕明を引きずる。 「……さ、早く行かなきゃ けんちゃん達、待ってるんだから」 「ふぁい」 やっぱり雫には逆らえない…… そんな裕明であった。  
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加