34人が本棚に入れています
本棚に追加
/209ページ
裕明たちは闇に包まれた道を
歩き続ける。
頼りない聖晶石の光がゆらゆら
と足元を照らす。
セイシティまではそれほど遠く
ないはずだが、暗闇に包まれた
道はひどく長く感じられた。
「大丈夫ですか?賢介さん」
沙那は1番後ろを歩く賢介に
話しかけた。
アクアマリンの話を聞いてから
賢介はずっと黙り込んだままなのだ。
「はい、大丈夫ですよ」
弱々しい笑顔。
夜の闇で、うっすらとしか表情
が見えない。
賢介はそのことを、少しだけ
感謝した。
今の自分の顔は、誰にも見られたくない……
最初のコメントを投稿しよう!