*17* 星の原

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ふわり…… 今までとは違う、どこか温かい 風が吹いたような感覚。 ふと、顔を上げてみる。 そこには 満天の星空と半分の月。 「みなさん、ここが水と星々の 街……セイシティです」 沙那は1番先頭まで走ると、 くるりと振り返りながら笑顔で 言った。 「綺麗……」 淡い碧色の石が地面をうっすら と明るく照らし、空と地面両方 に星空が広がっているような 光景が、そこにはあった。 沙那の立って居る後ろ――この 街の中心となる場所には、 大きな噴水があり、 月明かりと、晶石の光に照らし 出されて、水しぶきが美しく キラキラと弾けている。 「セイシティではこの時間、 星を見るのを楽しむために、 家や外灯の灯りを全て消すんです」 「……だからあんな小さな星まで綺麗に見えるんだね」 それは、天然のプラネタリウム…… まさしく幻想的な場所だった。 「みなさん、私の家にどうぞ すぐそこなので」  
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