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人は時に凄く困ることがある。
今がまさにその時だ。
俺こと水野 恭弥(みずの きょうや)は七年前に来たことがある、この町にやって来た。
来たことがある、と言っても二、三日だけで、俺の記憶には町の景色など覚えてはいなかった。
この町に来たのには理由があった。そもそも、行きたいと思ったことはなかった。
家の事情という奴だ。
俺の親が死んでしまったからだ。
そして俺は、父の弟に「こっちへ来ないか?」と言われた時に「行きます」と言ってしまったからだ。
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