窓の外

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彼女は葉月の娘、加奈子であった。 今年高校を卒業する彼女にとって、週に2、3回の見舞いと付き添いはここ半年のクラブ活動のようになっていた。 葉月は乳癌末期であった。日に日に痩せていく葉月の死期がそこまで迫っていることを、加奈子も感じていた。 考えると辛くなるので、いつもお気に入りの音楽をipodで聞きながら歩いた。 堤防から見上げる夕日がまぶしかった。泣きそうになる時もあるが周りを気にして、顔を上げる。 そんな加奈子を葉月は5階の病棟の窓から目を細めて見ていた。
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