君へ。

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  その代わりと言ったら可笑しな話なんだけど、覚えてるものは、やたら鮮明に記憶してるんだなコレが。 それこそ、その時の匂いや音や気温。天気なんかも。 そこに居た人の服の色柄や腕時計の形とか、その時に何を飲み食いしたとか、その場にあった家具や調度品の傷だとかまで。 DVDでチャプターするみたいに、台詞の一言一句まで再生出来ちゃうわけ。 仮に空白の部分の時代を象徴する事象や事実が必要なら、記録誌を紐解くなり、周囲の人々に尋ねれば知識として得られる。 そのせいで、オン・タイムぢゃない知識が混ざるってのが、周囲には幾らかややこしく映る場合も、ある。 でも実際、僕にはそれで十分なんだ。 ……この落差。変でしょ(苦笑)? けど、それが現実を生きている僕。  
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