第二歩

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 受験勉強に行き詰まって、余計なことをしてしまった……。  冷房をつけて、閉め切りにした部屋。澱んだ空気。 「なぁなぁなぁ、さっきから何してんの?」  びくっと肩を震わせ、声の主の方へ振り返る。 「……居たんだ?」 「もう、すぐ忘れるんだからお前は。俺、2時間前から居た」  ちょっと膨れっ面をしてこっちを見るのは――兄。3歳上の大学3年生。 「頼むから、出てってくれる?……って、さっきも言ったはずだけど」 「えー」  もう構わないことにする。
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