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ガラス戸を開けっ放しにして、兄は部屋に戻ってきた。
「ちょっと、閉めてよ」
5cmくらい戸を動かす兄。
「ちょっと閉めた」
「全部閉めて」
はぁ、と溜息混じりに戸を閉め、また卓袱台に肘をついて座る。
「空気悪ー」
「あのさぁ、翔兄の部屋じゃないんだから好きにさせて。空気清浄機あるからいいの。ってか、部屋戻ればいいじゃん」
「何でそう千宏は冷たいかなぁ」
やっぱりもう、構わないことにして、冷房の電源を入れる。
それからまたかったるい受験勉強を再開した。
何時間か経って、そろそろ寝ようかな、とベッドの方を向くと。
「……ったくもぅ」
兄が眠っていた。しかもすんごく気持ち良さそうに。
仕方ないので、隣の兄の部屋にあるベッドで寝ることにする。
兄の部屋もこの部屋も、家具や配置はほとんど同じなので、抵抗はない。
寧ろ、兄の方が綺麗に片付いているので、よく眠れた。
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