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「お先に……」
同僚が挨拶して店を次々出て行く。 原田はその中の1人を呼び止め言った。
「ちょっと立て込んで、課長に今日は早退するからって……早退届けは明日提出するて伝えて」
呼び止められた同僚は、雰囲気が重苦しいのを察して軽く手を振り足早に出て行った。
「役所て一言で早退したり出来るのか? 楽で良いな」
嫌味たっぷりに岸が言う。
「簡単じゃ無い……明日は朝から小言を言われる。
上手い事言って誤魔化されない為ですよ」
こうなったらとことん話そうと、原田は心を決めた。
原田の携帯電話が震えた、慌てて課長からだと思い電話を取り出して、岸に断りを入れて店の外にでた。
「原田光一さんのお電話でしょうか?」
課長と思い出たが、どうやら違ってたようだ。
「はいそうですが、どちら様ですか」
「私ニコニコ金融の、村上と申します。 今お時間大丈夫ですか?」
これか……。
「手短にお願いします」
「先日ご融資いたしました件の、ご利子の方が未だに入金の確認がとれてません。 ご入金はお済みでしょうか」
冷静で機械的な電話……。
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