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「はい区民課の原田ですね。少々お待ち下さい」
それは一本の電話から始まった。
「原田さん!1番に電話」
お昼前で窓口は、混雑して居る時だった。
「はい、もしもし区民課の原田ですが」
「あんた原田さんかい?」
区民の相談かと原田は思ったが、口調から又苦情の電話だと思い気が重くなった。
「そうですが、どのようなご相談ですか?」
出来る限りの明るい声で原田は言った。
「ご相談だと! あんたふざけてるのか、アルクの岸て言う者だけど」
「歩くの岸??」
まるで原田は分からない。
「とぼけてるのかい? 消費者金融アルクだよ。 期日は過ぎてるぜ。 遅れるなら、電話ぐらいしろよお役人さん」
益々分からない、原田は忙しい時に構ってられないと思い。
「人違いじゃないですか、私は生まれてこのかた、人にお金を借りた事はありませんので、失礼します」
「ちょっとまちやが……」
途中で電話を切ってしまった。
「間違い電話……」
苦笑いしながら、仕事に戻る。
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