第八章:奪取

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空母「赤城」 「味方潜水艦より無電!」 「読め」 「は!発、伊175。我、敵機動部隊見ゆ。ヨークタウン級空母1、中型空母2、その他巡洋艦、駆逐艦複数からなる護衛を配す。現在本艦は之と交戦中なり」 「……索敵機からの情報は?」 「まだありません」 現在太平洋に存在する米空母は「エンタープライズ」を残して一掃されている。 大西洋からの増援の情報も入っており、未確認の空母2隻は元大西洋艦隊所属の「ワスプ」「レンジャー」であるとの想像は容易だ。 南雲長官は迷うことなく号令を下した。 「攻撃隊発艦せよ!!」 空母が艦首を風上へ向け、飛行甲板上では第一次攻撃隊各機がエンジンを唸らせ、今や遅しと発艦命令を待っている。 飛行長が搭乗員に目標の説明をしている。 「味方潜水艦より敵空母発見の報が入った!最優先目標は空母エンタープライズ、ワスプ、レンジャーである!この3隻を撃沈、太平洋より敵空母を一掃し、来たるガダルカナル奪還の後顧の憂いを絶つべし!全機発艦!かかれ!!」 飛行長の号令で搭乗員が一斉に各々の愛機へと乗り込んでいく。 「1番機発艦!総員、帽振れー!!」 エンジンを轟々と唸らせ攻撃隊が次々と発艦していく。 「長官、0705、第一次攻撃隊77機、全機発艦完了いたしました」 「うむ。第二次攻撃隊の発艦準備に取り掛かれ。引き続き、対空、対潜警戒を減となせ」 今のところ敵に発見された気配は無く、南雲は敵を先制できたと安堵した。 息つく暇もなく、第二次攻撃隊の発艦準備のため艦内は再び慌ただしさを増していく。 艦載機が次々と甲板に揚げられ、艦爆と艦攻には爆弾と魚雷が搭載されてゆく。 07:30 「熊野より発行信号!10時方向、距離3500に潜望鏡らしき物探知!」 「なに!?」 艦橋要員が双眼鏡を引っ掴むが、”探知”ということはそもそも「熊野」自身も目視はできていない。 「左翼駆逐艦は煙幕を展開しつつ敵潜探知に努めよ。通信参謀、敵潜の通信に留意せよ」 「総員に通達。本艦はこれより敵潜の雷撃を警戒し回避運動に移る!艦の動揺に備えよ!」
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