第八章:奪取

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「前方の敵潜水艦より高速スクリュー音急速接近中!魚雷です!!」 「急速回避!面舵一杯!!右停止、左一杯急げ!!」 「間に合いません!!」 「総員衝撃に備えー!!」 魚雷はそのまま艦底に潜り込むと磁気信管を作動。 バブルパルスにより増幅されたエネルギーは、小さな艦体を一瞬の内に真っ二つに切り裂いた。 空母「エンタープライズ」羅針艦橋 「駆逐艦ベンハム、爆沈!!」 「何だと!?」 フレッチャーは間髪を入れず双眼鏡を引っつかむ。 「全艦、敵潜探知及び撃沈に努めよ!!」 「……高速スクリュー音!魚雷右舷から4つ急速接近!!」 「面舵一杯急げ!!」 「距離300ヤード!間に合わない!!」 直後、艦腹に避けきれなかった魚雷1本が突き刺さった。 遅発信管だと思い皆が衝撃に備え何かに捕まっていたが、いつまで経っても爆発が起こる気配は無い。 「不発魚雷だ!」 直径53.3cmの九五式酸素魚雷は「エンタープライズ」の艦腹にめり込んでいたが、30ノット以上で猛進する「エンタープライズ」が生み出す水流により不発のまま弾き飛ばされてしまったようだ。 「右舷水防区画、浸水警報!!」 「該当区画を直ちに閉鎖!被害箇所を報告せよ!」 「第16区画を閉鎖!被害は小規模の浸水のみ!戦闘及び航行に支障無し!」 「了解」 「……聴音より発令、4番命中するも爆発音無し」 「不発魚雷か!?クソッ、こんなん時に」 「前方敵駆逐艦2!感3、こちらに接近中!」 「了解!両舷停止深さ50!爆雷を回避後に露頂、敵所在地を報告する!」 「感5、直上!!爆雷投下した!!」 「両舷前進強速!!爆雷防御!!」 モーターが唸りを上げて回転わ始め、艦を力強く前進させる。 しばしの間を置いて凄まじい衝撃が後方から襲い掛かる。 「姿勢修正!潜横舵上げ一杯、ツリムタンク後部へ移水!!メインタンクブロー、潜望鏡深度!!」 タンク内に圧搾空気が排出され、艦が再び浮力を得る。 「潜望鏡深度、良し!!」 「通信アンテナ上げ!!」
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