642人が本棚に入れています
本棚に追加
「前方の敵潜水艦より高速スクリュー音急速接近中!魚雷です!!」
「急速回避!面舵一杯!!右停止、左一杯急げ!!」
「間に合いません!!」
「総員衝撃に備えー!!」
魚雷はそのまま艦底に潜り込むと磁気信管を作動。
バブルパルスにより増幅されたエネルギーは、小さな艦体を一瞬の内に真っ二つに切り裂いた。
空母「エンタープライズ」羅針艦橋
「駆逐艦ベンハム、爆沈!!」
「何だと!?」
フレッチャーは間髪を入れず双眼鏡を引っつかむ。
「全艦、敵潜探知及び撃沈に努めよ!!」
「……高速スクリュー音!魚雷右舷から4つ急速接近!!」
「面舵一杯急げ!!」
「距離300ヤード!間に合わない!!」
直後、艦腹に避けきれなかった魚雷1本が突き刺さった。
遅発信管だと思い皆が衝撃に備え何かに捕まっていたが、いつまで経っても爆発が起こる気配は無い。
「不発魚雷だ!」
直径53.3cmの九五式酸素魚雷は「エンタープライズ」の艦腹にめり込んでいたが、30ノット以上で猛進する「エンタープライズ」が生み出す水流により不発のまま弾き飛ばされてしまったようだ。
「右舷水防区画、浸水警報!!」
「該当区画を直ちに閉鎖!被害箇所を報告せよ!」
「第16区画を閉鎖!被害は小規模の浸水のみ!戦闘及び航行に支障無し!」
「了解」
「……聴音より発令、4番命中するも爆発音無し」
「不発魚雷か!?クソッ、こんなん時に」
「前方敵駆逐艦2!感3、こちらに接近中!」
「了解!両舷停止深さ50!爆雷を回避後に露頂、敵所在地を報告する!」
「感5、直上!!爆雷投下した!!」
「両舷前進強速!!爆雷防御!!」
モーターが唸りを上げて回転わ始め、艦を力強く前進させる。
しばしの間を置いて凄まじい衝撃が後方から襲い掛かる。
「姿勢修正!潜横舵上げ一杯、ツリムタンク後部へ移水!!メインタンクブロー、潜望鏡深度!!」
タンク内に圧搾空気が排出され、艦が再び浮力を得る。
「潜望鏡深度、良し!!」
「通信アンテナ上げ!!」
最初のコメントを投稿しよう!