プロローグ

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すると神子はピタッと泣き止んだ。神子は驚きの表情で薫を見つめた。 「ホントに行くの?」 「決まってしまったことなんだからしょうがないでしょ?元々『光輝』しか受けてなかったし今から受験なんて出来ないし」 薫はそう言って面倒くさそうに頭をポリポリとかいた。 「ありがとう薫!」 神子は立ち上がり薫にキスしそうなほどに顔を近づけ手を握りしめた。 「はいはい。あっ海翔どうなるの?『光輝』落ちちゃったんでしょ」 薫はそう言って鬱陶しそうに手をふりほどき再び新聞に手を伸ばした。実は2人一緒に受験してもとから頭も要領も良く努力家の薫は受かったが神子がなんとかしてくれると思い勉強を怠った海翔は落ちてしまったのだ。もちろん海翔も『光輝』しか受験していなかった。すると神子は微笑んだ。 「大丈夫。学校を経営している私の友達いるでしょ?」 「あぁ夢さん?」 夢さんとは神子の幼なじみで親友。神子と同じように学校を経営している。 「そう。でね夢が海翔気に入ってくれてて夢の学校入れてくれることになったの」 楽しそうに言う神子を見て薫はただ呆然としていた。いくら知り合いで気に入っていたと言っても受験もしてないない人を簡単に入れるなんてそんな適当でいいのだろうか。 「そっか」 薫は安心して思わず笑みを浮かべた。結果を聞いた時に落ち込んでいた海翔に薫はどう励ましていいかわからなかったのだ。 「しかも夢の学校女子校だから海翔は薫と一緒の立場なのよ」 そう言って神子は楽しそうだった。薫はただ呆れて何も言えなかった。 -私が女子校に通えばいいのでは?- そう言おうと思ったが浮かれている神子を見て何も言えずにただ黙って新聞の市場株価に目を通す薫だった。 「あっ言い忘れてた」 「何?」 薫は再び新聞をテーブルに置いた。 「入寮日今日の一時からだから準備しといてね」 その言葉を聞いて時計を見ると時計の針は7時を指していた。朝食や昼食、さらに着替えや荷作りの時間を計算すると三時間はかかる。薫は一時間前行動を心がけており時間にうるさい。 「それを先に言えー!!」 薫はそう怒鳴って二階に駆け上がって行った。
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