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『あの子はね、見た目があんなだから…見られるのを嫌うんだ。君は悪くないよ』
そう言われて俺は思わず『あんなに綺麗なのに?』と間を置かずに答えていた。
その答えを聞いて師範はキョトンとしてからクツクツと低く笑いそうだね、と同意をしてくれた。
『鶫も君を認めていたから、きっと気があうかもね。あの子と友達になってやってくれないか?』
言うだけ言って、俺の返事も聞かずに師範はお大事にね、とだけ言って部屋から出て行った。
その時は友達になる気なんてさらさら無かったのに、次の日道場に行ったら向こうから話しかけてきた。
『お前すげぇな、大体の奴は皆気持ち悪がって近付かねぇのに』
追いかけられたのは初めてだ、と笑った。
『…蓮帝 万里』
『?』
『名前』
笑った顔がまるで女の子のように可愛くて、思わず見とれたのは2度目。
そんな自分に動揺すれば、なんて言葉を返せば良いのかわからなくなって、でも会話を終わらせたくなくて出たのが自分の名前だった。
突拍子のない発言に鶫はキョトンとして、あぁ師範とそっくりだなんて思いながら自分の名前だと呟いた。
『ばんり、覚えた。俺は鶫、八王寺 鶫。』
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