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それが鶫との出会い。
当時6歳の俺と5歳の鶫。
春を告げ始めた冬の終わりの出会い。
「――…っ!!……万里!!」
突然の腹部への重みと激痛に出る言葉は無かった。
「っ…つ、ぐみ…もう少し優しく起こしてくれないか…」
夢から覚醒すれば、目の前には昔の中性的な可愛らしい鶫はおらず、ただの悪戯小僧と化した鶫が眉を上げて立っていた。
「なに寝てんだよ、ほら行くぜ」
笑い方は変わってない。
どれだけ悪態をつかれても、暴言を吐かれてもやっぱりコイツは可愛い弟なんだ。
多くの友達が、仲間の集う溜まり場ではいつのまにか老若男女問わず鶫を中心に輪が出来ていた。
「そいやぁ…昨日喧嘩売ってきたアイツ、なかなか良い腕してたな」
「黄龍さん!!昨日のオカマがまたお会いしたいと!!」
そうやってどんどん仲間が増えてデカくなる。
すごい奴だよお前は。
この時の俺は
突然の別れと
突然の再開なんて
全く想像してなかったけどな…
(お前俺に惚れただろ)
(ふふ…私、強い男って好きなの)
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