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「うわぁ!」
驚いたあまりにバックから荷物が飛び出てしまった。
「ったく、何やってんだよ…」
男の人はそう言うなり、荷物を拾い始めた。
「あっ、すいません;」
「別に。はい、これ。」
荷物が渡された手は私より大きく―――冷たい手。
彼の目を見ると、何かに冷め切ってるけど…とても優しさ感じられた。
「何?」
「…最近、何かあったんですか?」
思わず口にしてしまった。
初対面なのに失礼なことを。
それでも―――彼がほっとおけなかった。
「………あったよ。だから何?別にアンタに関係アンの?」
「…ないです。けど―――」
だって―――
「貴方が泣いているように見えたから」
男は目を見開いた。それが本当なのか。ただ驚いているのかは分からなかった。
それでも私は続けた。
「そんな人をほっておけないですよ」
「………じゃあ、仮に俺がそんな人だとするけど、貴方はどうするつもり?同情して慰めだろ?そんなのいらねぇからな」
「同情なんてしない」
「えっ?」
「私はそんな簡単に同情なんかしないよ。したくもない」
安っぽい同情を送るのら、私は貴方に―――
「残酷でも自分の意思を言うよ」
「…へぇ。変わった奴…」
初めて笑った。
とても優しく、まるで桜の花。
「笑ってるよ?」
「アンタがおかしいから」
「そう?」
「ありがとう」
男はそう言った。
「こちらこそ」
私はそう言って公園を去った。まだ、時間はたくさんあったけど…彼を一人にさせたから―――
そしてまた会うとは思わなかった。
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