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チャイムが鳴ったので席に戻る。しばらくして稲生がきた。
いつも通りホームルームが進んでいく。相変わらずやる気のない感じだが、必要事項はしっかり伝える。
「じゃあ終了~。一限目の用意しとけよ~。」
稲生が教室を出ていくと、皆騒ぎながら用意を始める。
弥生も用意をしようと机に手を入れた。
「痛っ!」
手を引っ込めると、手の甲に2cmくらいの切り傷ができていて、血がにじんでいた。
机の中を覗いてみると、天井部分に刃物が仕掛けられている。
一瞬、怒りで爆発しそうになったがなんとか押さえつける。
「ちょっ!長倉さん、手、血が!」
隣の男子が騒ぎだした。
怒りを抑えるため、無意識に手に力を入れてしまったのか、先程より血が出ていた。
「あー、大丈夫。それよりティッシュ無い?」
「ティ、ティッシュ!?えーっと…。」
男子が慌てている間に、手に花柄のハンカチが巻かれる。
綺麗な刺繍が入っていて、肌触りも良い。
蘭が今にも泣きそうな顔をして巻いていた。
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